働き方改革①(残業時間の規制)
日付:2018年10月18日
カテゴリ:労働問題について
現行法では、36協定を結べば、原則、月45時間、年360時間まで、従業員に残業させることが可能で、さらに36協定に特別条項があれば、1年間の内、6ヵ月まで上限なく、従業員に残業させることが可能です。
このような現行法の下、過度に働かされたことで過労死する従業員がいることから、この度働き方改革で、下記のとおり従業員を働かせることが可能な時間が変更されました。
(変更後の従業員の上限残業時間)
①原則(特別条項の定めがない36協定)
→月45時間、年360時間
②例外(特別条項のある36協定)
→ア)1年間の残業時間の合計額が720時間
イ)2~6か月間の平均残業時間が80時間
ウ)1か月100時間未満(100時間働かせることはできません。)
の3つ全て守る必要があります。
原則の上限残業時間数については、変わりありませんが、現行法では原則を超える残業時間数の36協定を結んでも、法律上問題ありませんでしたが、変更後は原則を超える残業時間数の36協定を結べなくなり、労働基準法違反で、罰則の対象(6ヵ月以下の懲役、30万円以下の罰金)となります。
変更後の上限残業時間の規制は、大企業であれば2019年4月1日から、中小企業であれば2020年4月1日から施行されます(注1、2)。当職の経験上、中小企業は36協定すら結ばないまま、従業員に残業を課していることも多く見受けられるので、この働き方改革を機に一度労務管理を見直すことをお勧めします。何か分からないことがあれば、弊所までご相談ください。
注1:大企業と中小企業の区別は下記のとおりです。
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大企業 |
中小企業 |
製造業、建設業、運輸業等 |
資本金が3億円超、かつ、従業員が300人超 |
資本金が3億円以下、または、従業員が300人以下 |
卸業 |
資本金が1億円超、かつ、従業員が100人超 |
資本金が1億円以下、または、従業員が100人以下 |
小売業 |
資本金が5000万円超、かつ、従業員が100人超 |
資本金が5000万円以下、または、従業員が100人以下 |
サービス業 |
資本金が5000万円超、または、従業員が50人超 |
資本金が5000万円以下、または、従業員が50人以下 |
注2:①自動車運転業、②建設業、③医師への適用は5年間猶予されます。また自動車運転業の上限残業時間は、年960時間であり、医師の上限残業時間は、未定の状況です。