会社の赤字で社長が自己破産はなぜ起こる?
日付:2016年5月2日
カテゴリ:自己破産について
会社の倒産と社長の自己破産
会社が赤字を出すことにより、徐々に資金が回らなくなってくるため、やがて存続すら危なくなり倒産の道をたどることになります。法人と個人とは別人格で考えられるため、本来会社の債務を個人である社長が支払う義務はありません。ただし事業用資金を調達の際に、通常金融機関から融資を受けた場合、不動産に抵当権をつけられるかもしくは社長個人の保証を取られることが多いです。
債務を負うべき会社が倒産した場合、担保物件の処分の範囲で返済に充当できなかった部分の金額を、保証人となった個人にその返済義務が移転されます。当然個人が負担できるような額面ではないことが多いので、倒産手続きと同様に社長が自己破産申請を行うことは通常の流れとなります。
経営者には実質上の無限責任がある
商法上の規定では、経営者である社長を代表する出資者は有限責任であり、出資額の範囲で責任を負うことになります。倒産した際には出資額が返ってこないがそれ以上の責任はありません。ただし中小企業の社長は、個人保証をしないと融資そのものを受けることができませんから、会社が倒産した場合は個人の財産を持ち出しても弁済する義務があります。
借金を肩代わりすることができる財産を持ち合わせていれば会社を円満に清算することができるのですが、通常個人では負担しきれない金額に膨れ上がっているため、同時に社長の自己破産の続きを取らざるを得ないのです。つまり経営者は、表面上有限責任ですが、実質上の無限責任を負わされていることになります。
金融機関にとって会社と社長は同一
会社と経営者は本来別物ですが、融資を行う金融機関においては別物とみなしていません。中小企業でも特に零細企業の社長の場合、経営者個人信用と無限責任を担保に、融資を実行しているからです。商法上の有限責任に反していると思われますが、融資を受けられないと会社そのものがまわりませんから、経営者が無限責任を負うことは避けようがないのが現状です。
金融機関は会社と経営者を同一のものと考えていますので、金融債権のリスクヘッジのため、社長個人の保証をもとに融資を実行します。そのことが別個人である社長に債務保証をさせるという矛盾を生み出していることになるのです。自己破産は、多額の債務を免責され新しいスタートを切ることができる救済措置です。公民権を奪われることもありませんので、正しい知識を身につけ信頼のおける弁護士と相談した上で決断するようにしましょう。