遺産相続で脱税できるの?
日付:2016年7月26日
カテゴリ:相続について
租税回避行為の防止という観点での取締まり強化!
そうは言っても、遺産相続でうまく脱税するというのは、かなり難しいことでです。例えば、世間では相続税の節税対策に関するハウツー本などがよく流通していますし、そのような趣旨のセミナーなどが銀行や証券会社などでよく開催されています。でも、税制というものは常に改正されているものですから、節税のための行為であると思っていたとしても、最新の専門的知識を身につけていない方の場合には、脱税行為であるとして税務当局に嫌疑をかけられてしまう可能性があります。特に、最近の税務当局は「租税回避行為の防止」という観点を重視していますから、不自然な取引があると思われてしまうような行為がないように注意をする必要があります。
最高裁判所判決による課税当局のスタンス変化!
このように、遺産相続に関する脱税行為を取り締まるという課税当局のスタンスは、最近になって顕著となってきた変化であるとも言えます。すなわち、最高裁判所は平成23年の判決において、「憲法で定められた租税法律主義にのっとって、税法の解釈によって課税が困難であれば、立法によって解決すべき」という旨を示したのです。この判決によって、課税当局は、租税回避行為については税制改正で対応するというスタンスに変化したわけなのです。例えば、平成27年には、1億円以上の有価証券等を保有する人を対象として、「国外転出時課税制度」と「財産債務調書制度」が導入されています。要するに、お金持ちが財産を海外に移転させて脱税するのを防止するための法律を作ったわけです。
タワーマンションの購入という節税対策の落とし穴!
例えば、遺産相続における節税対策として、タワーマンションの購入という手段がよく使われています。これは、例えば、被相続人が1億円を銀行預金として持っていた場合には、膨大な額の相続税を支払わなければならないということになってしまいますが、その1億円でタワーマンションの上層階の部屋を購入しておけば、支払わなければならない相続税の額を大幅に圧縮することができるというものですが、被相続人が亡くなる直前にタワーマンションを買って、被相続人が亡くなった直後にタワーマンションを売却した場合には、脱税行為であるとして税務当局のチェックが入る可能性があります。ですから、どのような取引が節税行為として認められる範囲なのか、専門家の知識が必要になってくると言えるでしょう。